四大原則:システマ的な心身の状態の基本原則です。
 ①Keep breathing(呼吸し続ける)
 ②Stay relaxed (リラックスを保つ)
 ③Keep straight posture (姿勢を真っ直ぐ保つ)
 ④Keep moving(移動し続ける)

 

[システマとは] 

このスタイルの歴史は10世紀にさかのぼります。広大なロシアはその歴史の中で東西南北、あらゆる方向からの侵略者の攻撃を退けなければなりませんでした。それぞれ異なった様式の戦闘法と兵器で迫り、異なった地理的状況のもとで行われるため、兵士達は非常に革新的でかつ多様性のある戦術と強い精神力を兼ね備える戦闘スタイルを身に付けました。それは自然で自由なもので、道徳的な制限を除けば厳密なルールや頑迷な組織、制約を持たないもので、全てが本能的な反応や個人の特徴に基づくもので、習得できるように考えられてきたのです。


共産主義によって全ての国民的伝統は排斥され、武術を実践してきた人々も厳しく弾圧されましたが、権力者達はシステマの有効性と潜在的可能性を見抜き、スペツナズの精鋭達のため保護されたのです。

ソビエト連邦の崩壊で、他の多くのロシアの戦闘スタイルが再び陽の目を見、システマは元ロシア内務省特殊部隊のヴラディミア・ヴァシリエフとミカエル・リャブコにより一般に公開されました。

 

【 システマの哲学 】  

武術システム(system)(ロシア語ではシステマ(systema))と呼ばれるのには訳があります。人の生命の価値を高めるための理念と訓練法が完全に含まれているからです。武術的な技術を身に付けるということは身体の生理学的機能を向上させるための道であると同時に、3つのレベル、身体的側面、心理的側面、スピリチュアル的側面 (訳注:ロシア正教的意味)を高めるための道なのです。

破壊の否定(壊さないこと)、これこそがシステマの根本原理です。
システマの目標とするところ、その訓練やあり方は自分や仲間の肉体や精神を傷つけるものではないということを念押しておきます。システマは肉体、心、そして魂を育み、強化することであり、そのための道具を得るというものです。システマはまた、私達が日常の営みの中で、身体的、心理的、スピリチュアル的ダメージを回復する方法も示してくれています。

システマとは別名“poznai sebia”すなわち「汝自身を知れ」です。「自分自身を理解する」の真に意味する所とは、システマにおける訓練とは、自己の限界を充分に把握するための方法です。何が誇れることで、何が弱い所であるのか、それを知るための術なのです。すなわち「人間の生きる目的」を見つめる時に必要な謙虚さをもたらしてくれるのです。

システマの根底にはロシア正教(キリスト教)の信仰があります。私たちの身に起こることは皆、善いことも悪いことも、究極的な目的、すなわち、己自身を理解するために出来うる限り最善を尽くせ、ということです。システマで行う訓練はそれと同じ目標をもたらしてくれます。自分が最善を尽くすべき状況、その中で自分自身を、様々な局面において自分ができることを把握するため最善な方法を与えてくれるでしょう。

Mikhail Ryabko(ミカエル・リャブコ)の言葉を紹介しましょう。
「善い人になりなさい、そうすればあらゆるものがあなたについてくるでしょう」。システマはあなたが正しい道を選び、進んでいく助けとなるでしょう。